風邪の初期症状やインフルエンザのような急な発熱が起きたときに使う「柴葛解肌湯(さいかつげきとう)」が良いと耳にすることがあります。
今回は、柴葛解肌湯の特徴や使い方、そして注意点を漢方専門の薬剤師の視点で解説します。

柴葛解肌湯とは?どんな漢方薬??
柴葛解肌湯とは、ちょっと専門的な言い方をすると、「葛根湯+小柴胡湯桔梗石膏」を組み合わせたような構成を持つ漢方処方です。
ですので、発熱・悪寒・頭痛・体のこわばりといった「風邪の初期~急性期」の症状に使うことが多いです。
だからインフルエンザやコロナに使われる人が多いのでしょう。
【柴葛解肌湯が使われる典型的な場面】
●①風邪の初期で高熱が出てきた時
寒気+発熱が同時に進行していくようなタイプの風邪ですね。
*逆を言うと、寒気がなく、「あつい!」という人には使いません
●②頭痛、関節痛、筋肉痛が強い時
特に、首、肩、背中がこわばり、張るようなタイプ
●③発汗しにくく、熱がこもっているとき
体表が緊張して「熱が抜けない」感じの時です。
実際に私の娘(中学2年生)が、先日熱っぽくなり、頭痛、寒気、足の痛みを訴えてきたので、柴葛解肌湯+バイオリンク503を服用したところ、一晩でスッと楽になりました。
こういう風邪の初期の段階に使うのが、柴葛解肌湯であり、証があっていれば、よく効きます。
柴葛解肌湯を使う時の注意点
柴葛解肌湯は、そもそも発汗させて熱をとる処方のため、ある程度体力がある人向けの処方です。
つまり、そもそも体力がない、虚弱タイプの方には使わない処方です。
・高齢者で体力が落ちている
・冷え性が強く、エネルギー不足の人
・痩せていて胃腸が弱い
・もともと虚弱体質
・すぐ疲れるタイプ
などなど、こういう人には逆に悪くすることもあります
ここら辺が、漢方薬の不思議な面で、「インフルエンザやコロナ=柴葛解肌湯」ではないんですよね
漢方薬は、証で選ぶため、同じインフルエンザでも、向いている人、不向きな人がいるんです。
体質や症状があっているかどうかで、結果がまったく変わるのが、漢方薬のいい点でもありますが、悪い点・・・・使いにくいっていうこともあるでしょうね。
風邪の初期で、これはいつもの風邪と違うと感じた場合や、使用に迷う場合は、専門家に相談しながら使うように心がけてください。
柴葛解肌湯は、そもそも、少し強いタイプの漢方薬になります。