2024年の8月ごろから、「髪がゴワゴワして、抜け毛が止まらない・・・」と感じていた50代の女性がご相談にいらっしゃいました。
年末近い12月のころです
しばらくして後頭部に髪の毛がない部分に気づき、皮膚科を受信されたそうです。
病院での診断と経過
皮膚科では、「びまん性脱毛症」と診断。
内服薬や外用薬を処方されましたが、なかなか抜毛がとまらず、10月ごろからさらに抜け毛が増える。
1時的にプレドニゾロン5㎎(内服のステロイド)を1週間服用すると少し落ち着くものの、また再び抜け毛が増えるという状態を繰り返していました。
血液検査では「セントロメア抗体が高い」と言われ、自己免疫のバランスの乱れが関与している可能性があるとのこと。
またコロナワクチンを5回接種されており、春先にひいた風邪もよくならず長引いたという背景もありました。
漢方的な考え
びまん性脱毛症は、漢方的には「腎虚」と「血虚」をベースとすることが多いです。
髪は、「血の余り」「腎の華」ともいわれ、体のエネルギーや血の不足、巡りの滞りがあると、髪が細くなったり、ぬけやすくなってしまいます。
この方の場合は、
・不安、心配としった精神的な不安定
・自己免疫のアンバランス
・更年期に伴うホルモン変動
といった複数の要因が重なり、体のエネルギーを消耗していたのでしょう、気血腎のバランスを整えることを重視しまいた。
体質に合わせた漢方薬の組み合わせ
初期は、血を補い、心身を安定させる処方を中心にしました。
服用してから1~2ヶ月ほどで、「抜け毛が減ってきたように感じる」とのことでした。
しかし後頭部の円形部分にはなかなか変化が見られず、その後、腎を補う漢方薬を追加。
すると、抜け毛がさらに減り、髪の毛も少しずつ新しく生えてくるのが確認できるようになりました。
半年後の変化
服用から半年後には、抜け毛も安定し、髪の毛にハリ・コシが戻ってきたとのこと。
皮膚科でも経過が良好ということで、ステロイド等の外用薬は中止、そのまま経過観察に。
今年の夏ごろには、いつも帽子をかぶってご来店されていたのですが、「もう帽子をかぶらなくても大丈夫なんです」と笑顔で来店され、私たちも本当にうれしく感じました。
現在も体質を整える目的で、漢方薬は服用中です。見た感じでは、もうほとんど脱毛部位はわからないほど回復されております


びまん性脱毛症と漢方薬の考え方
びまん性脱毛症は「髪の問題」というよりは、体全体のバランスの乱れを示すサインです。
・血流不足
・加齢やホルモン低下
・ストレスによる自律神経の乱れ
・食生活や生活スタイルの乱れ
原因はその方によって異なるので、体質ごとに見立て、根本から整えていくのが漢方の特徴です。
外側からのケアだけではなく、「体の内側から髪を育てる」という視点が、びまん性脱毛症の回復にはとても大切です。